時計は生意気にタグホイヤーだがな

残業を追えて夜遅くに帰宅するとテーブルの上にタグホイヤーのカタログが置かれていた。

夕飯の支度をする傍ら、パラパラとカタログの中身に目を通すと、表紙の裏には伊勢丹新宿店の印が押されていた。大方、伊勢丹に勤めている姉貴が母親に時計を買わせようと持ってきたのだろうと、その時は思った。

腕時計は学生時代に購入したタグホイヤーのクオーツモデルを愛用しており、購入してから20数年経つものの特に問題もなかったため、新たに購入するつもりは毛頭無かった。

後日、同じくタグホイヤーのクオーツモデルを愛用していた職場の同僚に話題を振ると、丁度最近機械式の限定モデルを新調したとのことだった。

それに影響されてか、自分も機械式時計に興味が湧きカタログで見つけた妥当なモデルを安く購入できないかネットで調べていたが、カタログ掲載モデルより古いモデルを見つけ、それが無性にほしくなってしまった。

しかし、旧モデルのため取り扱っている店舗は殆どなく、取り寄せで対応可能だった店舗にオーダーしても、最終的に取り寄せられなかったという連絡が来てしまった。

諦めきれずにネットの海を彷徨っている中、ヤフーオークションにて一つの出品が目に留まった。

説明文では、その時計の特性を巧妙に語っており、次第に惹かれていったが中古で約30万円という出品価格に踏ん切りがつかず、ウォッチリストに登録したまましばらくの間迷い続けていた。

そんなある日、同モデルの相場を確認する意味でネットの海を彷徨っていたところ、楽天オークションにて同モデルが約20万円で出品されているのを見つけた。

ヤフオクに出品されていたものが相場に近いと思い込んでいたのもあったし、楽オクでは質問欄に何件か値下げ交渉もされていて、ライバルがいるという危機感からか震える手で即効ポチってしまった。

[商品名] 【中古】タグホイヤー リンククロノグラフ キャリパー36 CT511A
[落札価格]198000

オークション市場では偽物も出回っているらしく、ギャランティーカード付属の品物が届いてからも不安が残っていたが、前オーナが購入してから約10年間で一度もオーバーホールをしていないということだったので、本物であるかを確認する意味も含めて正規店である「エスパス タグ・ホイヤー 銀座」へ足を運んだ。

この頃のタグホイヤーは、正規購入品(非並行輸入品)のオーバーホール代は割引させる制度となっていたが、店頭で時計を渡したところ正真正銘の本物であり、正規購入品であることが確認された。一安心だった。

店頭では時計の状態を確認し、リューズの交換が必要になる可能性があると告げられたが、分解して内部も確認したうえで後日電話で詳細を連絡してくれる事となった。

後日電話連絡があり、分解してみたら巧妙に作られた偽物であった、ということはなく、分解掃除以外にかかる部品の交換は先日言われていたリューズのみで済みそうだと告げらたが、ここで一つのひらめきがあった。

タグホイヤーのオーバーホールには外側のケースを磨いてくれるオプションなども存在するが、オークション出品者から届いた時点でそれなりに小傷などの使用感があったため、できるだけ安く綺麗にするための相談をしてみた。

バンド交換ではケースの傷が残り、磨き処理ではガラス面の傷が残る。ガラスを交換すればケースもセットなのでバンド以外が新しいものとなる等々、いろいろコストを比較した結果、正規品割引の影響もあり極端に高い金額でもなかったため、内部機構以外の外側すべてを新しいものに交換する事にした。

 元々、現行モデルの新品を探していた頃は予算20~30万程度で考えていたのに対し、最終的に中古落札価格+OH&部品交換で約41万円の出費となったが、正規新品販売当時の定価は80万円近くするモデルであり、何よりムーブメントはエルプリメロ(El Primero )なので、大満足である。

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